資格の分類
資格の種類による分類
資格には、さまざまな分類のしかたがあります。たとえば、国家資格と民間資格。資格の価値ということでは、国家資格のほうが民間資格よりも高そうですが、国家資格にもまた、さまざまな種類と性格のものがありますので、一概には言い切れません。
国家資格
国の法律にに基づいた資格で、その性格によって次の(1)から(4)に分類されます。なお、業務独占資格の多くは名称独占資格でもあり、設置義務資格と業務独占資格の両方の性格を持つ資格もあります。資格のキャンパスでは、複数の性格を併せ持つ場合は、より価値の高い性格の方に分類しています。
(1)業務独占資格
その資格がなければ、業務を行うことができない資格です。この場合の業務とは、平たく言うと商売のことです。たとえば税理士資格がなければ、税務処理を商売として行うことはできませんが、税理士資格がなくても、自分や自分の会社の税務処理を自分で行うことはできます。
(2)設置義務資格
その資格を持つ者を、必ず設置しなければならない資格です。たとえばパックツアーなどを販売する旅行代理店では、各営業所に最低1人以上の旅行業務取扱管理者を設置しなければなりません。
(3)名称独占資格
その資格がなければ、名称を名乗ることができない資格です。たとえば給食の献立を考えたり栄養指導を行うのは誰でもできますが、栄養士の資格を持たない者が、栄養士と名乗って行うことはできません。
(4)認定資格
その資格を持つ者の知識や技能を、国が認定している資格です。資格を持つことによって権利が生まれるわけではありませんが、一定レベルの知識や技能の客観的な証明になります。たとえば情報処理技術者試験の中の基本情報技術者であれば、SEやプログラマとしての基本的なスキルレベルの証明になります。
民間資格
その資格を持つ者の知識や技能を、民間の団体が認定している資格です。TOEIC®や英検のように社会的認知度が高い資格や、オラクルマスターやシスコ技術者認定のように特定分野の業務能力を評価するITベンダー資格の中には、国家資格にも劣らない価値の高い資格もあります。
公的資格
民間団体が認定している資格のうち公的な色合いを帯びた資格や、地方自治体が認定する資格です。たとえば簿記検定などの商工会議所が主催する資格は、商工会議所法という法律に基づいて行われているため公的資格に分類されます。
試験方法による分類
資格試験の方法も、いくつかに分類できます。基本形は、マークシート方式による筆記試験が主流ですが、それに記述試験や技能試験・面接試験が加わるものもあります。最近は、コンピュータで実施されるCBT試験や、自宅のインターネットで受験できるWBT試験も増えています。
筆記試験(マークシートのみ)
4肢択一や5肢択一などの多肢択一問題や複数選択問題、語群選択の穴埋問題などがあります。基本的には、正解となる解答を選択肢の中から絞り込んでいく方式になります。試験によっては、0から9までの数字を位ごとにマークシートする計算問題もあります。
筆記試験(記述・論述あり)
マークシート問題のほかに記述問題が数問出題されるケースや、1次試験はマークシート問題で2次試験は論述問題といったケースがあります。簿記検定や漢検のように、全ての問題が記述式の試験もあります。
技能試験あり
知識ではなく技能を試す試験です。自動車運転免許のように、学科試験と技能試験に分けて実施される場合が多いようです。技能が求められる医療系の国家資格の場合は、養成課程のある専門学校などを卒業すれば、国家試験では技能試験は省略され学科試験のみが行われる場合がほとんどです。運転免許でも、公認の自動車教習所を修了すれば技能試験が免除されるのと似ています。
面接・口述試験あり
面接官による口頭試問が行われる試験です。秘書技能検定のように接遇能力を問う試験や、中小企業診断士のようにコンサルティング能力を問う試験などで採用されています。1次試験では筆記試験が行われ、筆記試験合格者だけが2次の面接試験に進むような試験方式が大半です。
CBT・WBT
コンピュータで実施されるCBT試験とインターネットで受験できるWBT試験の多くは、自分の都合に合わせて随時受験できる利点があります。コンピュータ関連や受験者数の多い資格試験で採用されています。
講習等のみ
試験は実施されずに、講習会を受けるだけで取得できる資格です。国家資格の食品衛生管理者や、公的資格の訪問介護員(ホームヘルパー)などがあります。
受験資格による分類
受験資格にも、さまざまな条件が設けられている場合があります。具体的には、年齢や学歴、実務経験などですが、それらの条件をクリアしているのであれば、資格試験の関門をひとつ越えたことにもなりますから、狙うには有利な資格ということもできます。
原則、だれでも受験可能
年齢・性別・学歴・職業などにかかわらず誰でも受験できる資格試験です。なお国家資格試験の場合、その資格に関連する業務の法令違反を犯した人は、一定期間は受験できません。
年齢要件あり
公務員試験に多く見られます。たとえば21歳以上という年齢要件の場合、試験日現在の年齢ではなく、試験が実施される年の4月1日現在の年齢になります。
学歴要件あり
高卒以上・大卒以上といった一般的な学歴のほかに、○○養成課程のある学校や養成施設を卒業、といった履修内容を限定した学歴の場合もあります。
実務要件あり
職種や就労形態が実務要件を満たすかどうかを確認するとともに、職場の人事課にお願いして所定の書類を書いてもらうなど、実務要件を満たすことの証明が必要になります。
研修修了・講習会参加など
たとえばファイナンシャルプランナー(AFP)のように、試験の主催団体が決めた所定の研修を修了することが受験の要件となる資格試験もあります
国籍その他の要件あり
国家公務員試験がわかりやすい例ですが、この場合、日本国籍であることが受験の要件となります。
試験日程
最後に分類からは離れますが、試験日程についても注意が必要です。資格試験のほとんどは、1年に1回もしくは2~3回しか行われませんので、試験日がいつなのか、申込みが間に合うのか、合格発表がいつ頃になるのか、自分のキャリアプランやライフプランと重ねながら考える必要があります。
出願締切月
試験実施日の2~3ヵ月前に締切になる場合が一般的です。通常は1週間から1ヵ月程度の出願期間が設けられています。資格のキャンパスでは、出願期間の最終日が属する月を出願締切月としています。
試験実施月
1次試験・2次試験など、試験が順を追って複数回行われる場合は、最初の1次試験の試験日が属する月を試験実施月としています。
合格発表月
1次試験の合格発表後に2次の最終試験が実施される場合などは、最終試験の合格発表日が属する月を合格発表月としています。